6DJ8差動プリアンプ


2年間のパラグアイでのシニアボランティアの仕事が終って帰国し、久しぶりに 秋葉原を散策しました。ぺるけさんの「情熱の真空管」ウェブサイトを覗いたところ、面白そうな ものを見つけたので早速買い出しに行ったという訳です。
12AU7Aによる自作差動プリアンプをしばらく聞いていましたが、小音量時の左右の音量バランスに 問題があるのと、ボリュームによる特性劣化(音痩せ等)を防止するため抵抗アッテネータを自作して換装 しました。ついでに真空管も直線性が優れていると言われる6DJ8(松下製)に取り替えました。結果は・・・ 音に張りが出てきたかなーという感じです。これは時間をかけて評価する必要がありそうです。

差動プリアンプ正面 FETによる差動プリアンプを作ろうと思っていましたが、新品の12AU7Aと6DJ8が数本あったので 結局真空管にしました。アルミの弁当箱のようなケースも考えましたが、どうせ作るならとタカチ の6,000円弱のケースを奮発しました。トランスはぺるけさん推奨の東栄にしたので、結果的には 全部で15,000円(その後、抵抗アッテネータを導入したので23,000円)くらいになりました。 工具は電気ドリルとヤスリしかないので、穴あけに苦戦し手にまめが出来る寸前でした。ツマミは これまた大昔の山水のTrアンプから取り外したものを再用しました。

マウスを画像に重ねると 画像が拡大 されます。(以下同様)

内部(現在) 内部(従来) 6DJ8差動プリアンプのハラワタです。左側が現在のもの、右側は従来のものです。 ケースが大きいため配線は大変楽でした。特別な真空管の廃熱対策も していませんが全く問題なしです。入力、出力とも3系統です。2つのトランスがシャーシ内に すんなり納まらないので一瞬焦りましたが、横倒しにしてホームセンタで買ったL金具によりぎりぎり 入りました。高域におけるチャンネルセパレーションが良くなかったので、入力ボリュームを自作抵抗 アッテネータに変更するとともに、シャーシ中央にシールド板を配置し左右チャンネルの配線を可能な 限り分離し、デカップリング用電解コンデンサーも容量を増やしました。その効果は下記のチャンネル セパレーション特性に現れています。


抵抗ATT 自作抵抗アッテネータの拡大写真です。ロータリスイッチはセイデンのショーティングタイプ(32NEG 2-2-23) で接点数は23です。値段は通販で6,000円弱でした。抵抗は1/2Wタイプの安物です。小生の駄耳は 抵抗による音の変化を聞き分けられないので1本10円の抵抗で十分です。ただ、信号が通る15kオームの抵抗 のみスケルトン抵抗にしました。アッテネータはL型の簡易タイプで定インピーダンス型ではありません。 15kオームに0オームから220kオームの抵抗を直列にして中点から出力を取り出します。


セイデンSWの結線状況 セイデンロータリスイッチへの抵抗取付け方法について説明します。抵抗の取り付けに 少し工夫が必要でした。というのは、接点端子間にチャンネルシールド用の銅板がありますが、位置が 真ん中でなく一方は1/2Wの抵抗がすんなり格納できる反面、他方は間隔が狭く抵抗を少し斜めに 配置せざるを得ませんでした。ちょっと不恰好ですがこの方法で何とか2組の抵抗をロータリスイッチに取り 付けることが出来ました。1/4Wの抵抗だったらすんなり格納できるかも知れません。


ボリュームの特性 コスモス製50kオームA型2連ボリューム(RV30YG)の特性です。小音量では左右チャンネルの減衰量差が数dB もあり聴感上明らかに判ります。また、高域や低域での特性劣化(音痩せ等)もあるようです。これらの問題を 解決するため若干コストはかかりますが抵抗アッテネータを自作することにしました。


抵抗ATTの特性 自作抵抗アッテネータの特性です。手持ちの抵抗を使ったためカーブに多少の凹凸がありますが聴感上は全く 問題はありません。入力側の抵抗は15kオーム一定、出力側の抵抗は下記の23本です。
0(ショート)、10、22、51、100、220、330、470、820、1k、1.5k、2.2k、3.3k、4.7k、6.2k、8.2k、10k、 15k、22k、33k、47k、82k、220kオームです。抵抗は10本ずつ購入してテスターで抵抗値を選別しました。 抵抗%値カーブはA型ボリュームに近似、減衰量は-63.5dB〜-0.6dBであり、ショーティングタイプのため切替 ノイズもなくボリュームと同じ感覚で音量操作出来ます。

差動プリアンプ回路図 6DJ8差動プリアンプの回路図です。ぺるけさんの回路のオマージュですが、手持ちのパーツの有効利用の ため少し異なった数値になっています。300Bシングルメインアンプのゲインが高いため、負帰還量を 多くしてプリアンプのゲインを2〜3倍程度に落としています。例によって定電流ダイオードは 10mAのを6個購入しましたが、運よくそのうち3個の特性がよく揃っていました。定電流ダイオード によるノイズ発生の報告もありますが、スピーカに耳を近づけても何も聞こえませんでした。

差動プリアンプのf特 6DJ8差動プリアンプのバスブースト振幅周波数特性です。パワーアンプに比べると素晴らしい特性です。 バスブーストはスピーカーシステムが小型で低域があまり出ないので無茶区茶なカーブになっています。 お陰で低域がかなり豊かになりました。もはやピュアオーディオとは無縁な世界になっています(冷汗!)。
使用感ですがプリアンプなしに比べて重心が全体的に低い方に移ったのと、「さしすせそ」の 音が柔らかくなったような気がします。音量を大きくしても聞き疲れしなくなりました。

入出力特性 6DJ8差動プリアンプの入出力特性です。常用する出力電圧帯(0.1〜1V)では十分リニアだと 思います。ゲインは2.2倍しかありませんがパワーアンプのゲインが結構大きいのでこの程度あれば十分です。

歪率特性 6DJ8差動プリアンプの歪率特性です。発振器がCD再生式のため1.6V以上の出力のデータが取れません。 1kHzと10kHzに比べて100Hzの歪が小さいという奇妙なデータになりましたが、一応常用電圧帯(0.1〜1V)では 全ての周波数で1%以下なのでまあ問題ないでしょう。残留雑音は0.1mVで定電流ダイオードの雑音は聞こえません。 なお、歪率はソフトンの善本さんお勧めのデジタルオーディオプロセッサーとWaveSpectraによる方法で測定 しましたが、小出力で測るたびに測定値が一定せずばらつくという問題がありました。今後原因を検討したいと 思います。

アンプのクロストーク特性 6DJ8差動プリアンプの出力1V時のクロストーク特性です。WaveSpectraで測定したため20Hzから20kHzまでしかデータ がありません。50Hzや100Hzは電源ハムの影響があるため測定を避けています。低域はデカップリング用電解コンデンサの 容量増、高域は2連ボリュームから抵抗ATTへの変更、左右CHの配線や部品を可能な限り離す、シールド用銅板の設置、 NFB量切替回路の撤去による効果が出たものと思われます。 低域は測定不能なくらい良好ですが高域では徐々に劣化しています。高域のクロストーク劣化は入出力切替 スイッチがあるためと思われます。抵抗アッテネータを左右別個にすると共に入出力切替 スイッチを無くすればもう少し良い数値になるかも知れませんが、これでは使い勝手が著しく悪くなります。 この程度のクロストークは真空管アンプでは大きな問題ではないのでこれで良しとします。


100Hz方形波応答 6DJ8差動プリアンプの2Vp-p時の方形波応答波形です。上から100Hz、1kHz、10kHz、 50kHz、100kHzですが全く問題ない波形だと思います。残留雑音の関係で最終的に本プリアンプは 増幅素子をFET(2SK117)に変更しましたが高域特性(50kHzと100kHz)は6DJ8の方が優れています。 真空管の方が入力容量が小さいからだと思われます。

1kHz方形波応答

10kHz方形波応答

50kHz方形波応答

100kHz方形波応答



真空管オーディオへ戻る