| JBL大型スピーカーシステムの製作 |
オーディオを趣味とする人間、とりわけジャズ好きにとって、いつかはJBLの大型スピーカーに
挑戦したいと思わない人はいないと思います。しかし、中古品でも既製品を買うには高すぎます。そこで、ユニット
をネットオークションで安く購入してエンクロージャを自作することを思い立ちました。どうせやるなら38cm口径(15インチ)
のウーファーとホーン付きドライバーの2ウェイ方式としました。1ヶ月にわたるオークションバトルの結果、写真のような
4種類のユニットをゲットしました。中古オーディオショップの販売価格よりも安く購入できたと思いますが、それでも15万円
近く掛かりました。全て25年以上前に製造されたものですがJBLは古くなっても安くなりません。マウスを画像に重ねると
画像が拡大
されます。(以下同様)
3110ネットワークに8オームの負荷抵抗2個を接続し高域ATTをMED位置にて振幅周波数特性を
測定しました。高域ゲイン設定のスイッチはMAXで4dB、MEDで6dB、MINで9dBの高域ATTが入っています。
このため高域の特性カーブは6dBほど持ち上げて描かれています。
クロスオーバー周波数は約750Hzでこのままでも何とか使えるだろうと判断しました。
もともとFOSTEXの38cm口径のサブウーファー1台を自作していたので、今回は同じサイズのボックスを
もう1台製作することになります。写真はボックスの板材です。メインの板は91cm x 45cm x 1.8cmが5枚(パイン集成材)、
あとはバスレフダクト用の板材(91cm x 20cm x 1cm)1枚と補強材が少々です。木材の費用は1万円ちょっとでした。
ウーファー用の直径35cmの穴開けです。ジグソーを買う金がないので手作業です。バスレフ用
の長方形の穴(20cm x 8cm)も同様に開けます。
直角冶具による本体の接着作業です。今回は釘を使わない方法としましたが、強度は
問題ないようです。
直角冶具によるバスレフダクトの接着作業です。ダクトの寸法(横20cm、縦8cm、奥行15cm)は
フリーソフトにより共振周波数を35Hzとしましたが計算はアバウトです。
木目を生かした塗装にしたかったのでオイルフィニッシュ仕上げにしました。以前自作した
ボックスは水性ニス仕上げだったので、一旦塗装を剥がして塗り直しましたが大変な作業になりました。色は
古い家具調を意識してオールナットを選定しましたが、ちょっと地味すぎたかなと思います。
吸音材のグラスウールです。適当に貼り付けましたが効果の程度は?です。発ガン性は
無いようですが作業には防塵マスクが必須です。そうしないと直ぐに喉がイガイガになります。
自作したグリルです。色はネイビーでコストを抑えるためにウーファーの前面部分のみ
としました。まず内枠を作りミニタッカーにより接着材なしでネットを張ります。次に同じ系統色で
塗装した外枠で囲みます。最後に4個のグリルホルダーを取り付けて完成です。
ホーン付きドライバーの固定台を自作しました。35cm x 30cm x 2cmの板にL金具で固定
しました。
やっと完成しました。FOSTEXのFW405を使用したサブウーファーを製作してから、左右
揃ってのスピーカーシステムが完成するまで15年くらいかかったでしょうか。夢にまで見たJBLの大型
ホーンタイプのスピーカーシステムです。エンクロージャの内容積は約150リットルです。ネットオークションで
JBLの赤いエンブレムを購入しましたが小さいサイズのものしかなくちょっと寂しいです。
JBL大型スピーカーシステムの全景です。さすがに場所を取ります。しかも重いです。
低域はFOSTEXで経験しているので驚きはしないですが、初めて経験するJBLホーン付きドライバーの
中高域の音は圧倒されます。「弾ける音」という印象です。音量を上げるほど実力が出るようです。
あわててジャズのCDを何枚も聴いてしまいました。エージング後の音が楽しみです。
自作した測定用マイクによる周波数特性測定風景です。エレクトレットコンデンサー
マイクは古いビデオカメラから取り外したものです。マイクの周波数特性は30Hz〜15kHz
くらいではないでしょうか。マイクはウーファーとホーンの中間軸上50cm離れた位置で測定しました。
テスト信号発生用CD、オーディオプロセッサー、WaveSpectraを用いてJBL大型
スピーカーシステムの周波数特性を測定しました。安物のコンデンサーマイクを使用したので低域と
高域の測定精度は怪しいですが、800Hz付近のクロスオーバー周波数でのウーファーとドライバーの
繋がり具合が分かれば良いのです。高域レベル調整スイッチは低域と高域の繋がりが最もスムーズな
「MIN:ATT量9dB」に設定しました。
念のためにウーファー、ドライバーの個別周波数特性を測定しました。定在波による凹凸が多く
クロスオーバー周波数を特定するのは難しいですが750Hz辺りだと思われます。なお、ドライバーの周波数特性
において200Hz以下に現れる盛り上がりは測定系のバックグラウンド雑音(パソコンファンの音やハム雑音等)で
ドライバーの特性ではありません。
ダクト出口にマイクを置いてダクトの周波数特性を測定しました。40Hz辺りに共鳴点が
あるようです。設計値は35Hzだったのでまあ良しとしましょう。
エンクロージャ内の定在波の様子を知るためにマイクを内部に入れて測定しました。180Hz辺りの
盛り上がり以外に大きな定在波は見当たりません。
ネットワークを介してエンクロージャに収納した2Wayスピーカーのインピーダンスを測定しました。
測定方法は最も原始的な方法で、スピーカーに8オームの抵抗を直列に接続し、常に一定の交流電流(0.8V/8Ω=0.1A)
を流してスピーカー端子間の交流電圧を測定し、その電圧を0.1で割り算することによりインピーダンスを計算しました。
50Hzのピークはウーファーの、800Hzのピークはドライバーの共振周波数です。スピーカーシステムの最低
インピーダンスは8オームと読み取れます。また、ダクトの共鳴周波数は30Hzと読み取れます。
デジタルテスターで測定した直流抵抗値は7.6オームでした。
その後の改善1:ツイーター追加による高域特性の改善
小生の耳は高齢化に伴い10kHz以上の音はあまり聞こえないのですが、ツイーターを
追加すると少しは改善されるかと思いネットオークションで捜した結果、1万円以下でFostexのFT90Hが2個
ゲット出来ました。本当はJBLが欲しかったのですが10〜15万円するので仕方ありません。
FT90Hの主要特性は以下のとおり。
最大入力電力:50W
インピーダンス:8オーム
音圧:106dB/W/m
周波数特性:5kHz〜35kHz
3Wayシステムの構成図です。FT90Hの能率はドラーバーのそれに近いので簡略化のためLC
によるHPFをドライバーに接続しただけです。Cは3.3μF、Lは300μH(計算上)でクロスオーバー周波数は
約5kHzです。
超貧乏人用ネットワーク部品です。Cは有り合わせのコンデンサー4個の並列接続、Lは
ホームセンターで130円で買った直径0.4mm・長さ10mのエナメル線で作った空芯コイルです。5kHzで
直列共振するように巻き数を増減し糸で束ねました。
ツイーター用LCネットワークの周波数特性を8オーム抵抗負荷で測定しました。10kHzでの
挿入損失が1.02dBで最小値でした。グラフは10kHzの損失を0dBとして描かれています。5kHzで挿入損失が
約3dBとなっており設計どおりであることが確認されました。カーブの傾きもほぼ12dB/オクターブとなって
います。なお、20kHz以上の高域で損失が若干増えていますが、コンデンサーの特性なのかコイルの
分布容量のためなのか或いは測定誤差なのか不明です。
余った板材と丸棒で置き台を自作しました。ツイーターの置き場所がドライバーホーン上の
ため傾斜があり足を付けて水平にしています。下部のゴムパッドで振動を抑えています。一応油性ニスで
塗装しましたが見栄えは今一です。
全体像はこんな感じで少しだけ精悍になりました。
改造後の総合周波数特性です。マイクの位置、音量等測定条件が全く同一ではないですが、
ツイーターがない場合は3kHz付近から低下し始め10kHzでは20dB低下していたのが、10kHzで8dBかつ15kHzまで
緩やかに低下しており高域特性が改善されています。耳の衰えた小生でも音域が広くなった感じがします。
ゴム板4枚を敷いてスピーカーボックスを固定していましたが、引き締まった低音を
出したいのでインシュレータを作ることにしました。方法はいろいろありますがネジを使って点
接触させる方法としました。3点支持が最も安定します。材料は檜板(130mm x 80mm x 26mm)6枚、
ステンレスネジ(5φ x 40mm)6本、6角レンチ用ステンレスボルト(M6 x 15mm)6本、ステンレス
ナット(M6)6個(写真撮り忘れ)です。材料費はわずか1,200円です。
インシュレータの台座が完成しました。ステンレスボルトを檜板の中央にねじ込み、
ステンレスナットで軽く固定しました。ナットは強く締めると空回りするので軽く締めて2液性ボンド
で強化しました。それにしても檜の香りはとても良いですね。
インシュレータを取り付けた写真です。3点支持ですから非常に安定しています。
点接触のためスピーカーの振動はほとんど床に伝わりません。低音の出方が変わりました。
非常に歯切れの良い低音が出て来るようになりました。コストパフォーマンスも抜群です。
その後の改善2:ダクトのチューニングによる低域特性の改善
本スピーカーシステムの完成後約5年が経過しましたが、ウーファーの超低域における周波数特性に
盛り上がりがあるのが気になっていました。その結果、45Hz付近が強調される代わりに70Hz付近に
ディップが現れ、20Hz〜30Hzの超低域のレベルが低下しています。そこで、ダクトの共振周波数を詳細
に見直した結果、現在の35Hzから25Hzに変更する事にしました。こうする事により盛り上がりがなく
なり、緩やかに下降するカーブになって超低域のレベルが上昇しました。ヒヤリングの結果も低音が
より豊かになりました。
ダクトの寸法を変更して共振周波数をシミュレーションした結果、開口部の高さを
8cmから4.2cmにすれば共振周波数が25.8Hzになる事が判明しました。この方法なら厚さ3.8cm、横幅
20cm、奥行き17cmの板を開口部に差し込んで固定するだけでOKです。早速ホームセンターで板を
捜しましたが適当な物が見つからず、安価な2x4のSPF材を貼り合わせて作成しました。長さ20cmに
切断したSPF材2枚を接着剤で貼りあわせてオイルステインで塗装しました。スピーカーボックスの
色と板の方向が縦横でピッタリ合わず不格好ですが周波数特性が改善されれば良しとします。
板材は念のため将来の再改造に備えて強力な両面テープで固定しました。
改造後のウーファーの周波数特性を測定しました。測定機器はテスト
信号発生用CD、オーディオプロセッサーSE-U33GX、WaveSpectraです。45Hz付近の盛り上がりが
なくなり超低域まで緩やかに下降して行きます。結果的に20Hz〜30Hzのレベルが上昇して
低音がより豊かになりました。なお、4kHzから上の波形は測定系のバックグラウンドノイズ
でスピーカーからの音ではありません。バスレフ型スピーカーではダクトの設計を良い加減に
してはいけない事を身をもって知りました。