811Aシングルダイナミック結合アンプ


ひょんなことからRCA製の811Aを入手したので、トリウムタングステン送信管の音を聞いて みたくなり出来るだけお金をかけないで製作しました。噂では811Aの音は爽やかな高音だと言われて います。問題は6.3V 4Aというヒーターです。普通の電源トランスでは対応できません。ヒーター トランス式にしてもかなり大掛かりです。この種の送信管は1,000Vくらいの高電圧が要ると思って いましたが、811Aに関しては400V程度で十分ということが判明したので早速作って見ることにしました。

木枠のシャーシ 売っているシャーシーを買うと穴加工なしでも1万円以上するので安く作ることにしました。総額1,500円で DIY店で買ってきた材木を接着剤で張り合わせで作りました。アルミシャーシの厚さが1.5mmのため トランス類の重さで中央部がしなるので突起を作って支えています。

マウスを画像に重ねると 画像が拡大 されます。(以下同様)


塗装済のシャーシ 1,500円で買った1.5mm厚の40cmx30cmのアルミ板に穴あけをしたあと塗装したものです。ろくな 工具がないため、電動ドリルで小さな穴をたくさん開けてニッパーで切取りヤスリをかける最も原始的な 方法です。お陰で手はマメだらけになりましたが達成感はあります。塗装はプラサフ下塗り、メタリック 上塗り、クリアー仕上げと本格的にやりました。自家用車の修理で腕を上げてから塗装だったので 満足のいく仕上がりになりました。

811Aアンプ上面 配置は左右対称にして見ました。電源トランスは811Aの6.3V 4Aという大食いヒーターのため、ヤフオク で捜したところ12,600円のSEL製を見つけゲットしました。6.3V 5A巻線が2つありヒータートランスを買う より安上がりだと思います。B電源も250V/350V 300mAの容量があり十分です。チョークは5H 300mAのSEL製を ヤフオクで3,200円でゲットしました。出力トランスはタンゴのFW-20Sです。 初段管は12AX7の高信頼管のRCA製5751です。ドライバーは超3アンプのテレフンケン 製EL34を使いました。音量VR、入出力端子、電源SW、ヒューズ等全てシャーシ上面に配置しています。 集合型ブロック電解コンデンサを使用していないため、シャーシ上面は非常にすっきりしています。 14mmのプレートキャップは秋葉原で探したのですが、なかなか見つからず結局ネットショップで 購入しました。807等の9mmはたくさん売っていましたが・・・。

811Aアンプの背面 811Aアンプの背面です。最初はスピーカー端子を出力トランスの後ろに配置しようと思ったのですが、 補強用木材が邪魔になって場所が狭すぎるためアルミシャーシー上の側面に変更しました。そのため出力トランス の後ろに無駄なスペースが出来てしまいました。


811Aアンプのハラワタ 恒例のハラワタ公開です。40cmx30cmの大きなシャーシのため内部は広々としています。 811Aは25mmほど沈ませています。4Aが流れるヒーター用ブリッジ整流器は発熱があるためアルミ シャーシに直付けしています。


811Aの灯火 トリタン球を使うのは初めてでしたが本当に見ていて楽しいです。ただし、相当な発熱があり 夏用ではありません。電源投入を示すパイロットランプもよく考えたら無用の長物でした。


使用した真空管たち 使用した真空管たちです。テレフンケン製EL34、RCA製811A、RCA製5751です。噂には聞いていましたが811Aの 曲線美は本当に見事です。


811Aアンプの回路図 811Aアンプの回路図です。この種の送信管は正のグリッドバイアスを必要とするため、自己 バイアス方式は使えません。そこで有名なダイナミック結合というドライブ方式を使います。 出力管のプレート電圧は390Vちょっとですが、約100mAのプレート電流で十分なパワー が得られ、タンノイのスターリングを余裕で駆動しています。出力管のプレート電流を決めるのは 10.3kΩの抵抗で他に調整箇所はありません。ヒーターハムはハムバランサーにより 小さくなりましたが、残留雑音が左右CHとも1mVあり今後の検討課題です。SRPPのため5751のカソード 電位が100Vを超えるのでヒーターバイアスが必要ですが、B電圧の抵抗分割は面倒なので350V 10μの 電解コンデンサでアースしています。
電源投入後数秒間スピーカーからブーンというハム音が出るためB電圧投入の遅延回路を設けました。 「555」という有名なタイマーICを使わないで、330kと100kΩの抵抗と470μFのコンデンサの組合 せで約22秒の遅延時間が得られました。 ダーリントントランジスタのベース電圧が1.4Vになるとリレーが動作しますので、 充電時間と充電電圧の関係式 Ve=V(1-exp(-t/CR))(ベース分圧抵抗100kΩが無い場合の簡易計算式) で計算するとtは19.2秒になります。最終的には100kオームの抵抗分圧による2.8Vに落ち着きます。 この回路のお陰で電源投入時のハム音は解決しました。

811Aアンプのf特 811Aアンプの出力1W時の振幅周波数特性です。5.4dBのオーバーオール負帰還 をかけていますが、高域特性に比べ低域特性があまり良くないですが低音不足の感じはありません。 ダンピングファクターは1kHzで1.5しかありませんが、奏でる音はとても素晴らしく噂どおり爽やかな高音が 印象的です。
DFがあまりにも低いので試しに負帰還量を10dBくらいに増やして見たらf特も改善しDFも2.5くらいに なりましたが、出てくる音が引っ込んでしまいタンノイのスターリングには合わないようです。 やはり、それなりの女性(小生の811Aアンプ)は厚化粧してもダメということでしょうか。そんな訳で また最初の薄化粧に戻しました。

811Aアンプの入出力特性 811Aアンプの入出力特性です。アンプゲインは約16倍です。オシロスコープで観測すると出力 10Wあたりでサイン波形が歪み始めます。



811Aアンプの歪率特性 811Aダイナミックカップルシングルアンプの歪率特性です。低域の特性悪化は熱雑音によるものと思われます。 歪率はソフトンの善本さんお勧めのデジタルオーディオプロセッサーとWaveSpectraによる方法で測定しました。 残留雑音は左右CHとも1mVで少し大き目ですが、スピーカーから50cm以上離れると聞こえなくなります。


811Aアンプのセパレーション特性 811Aアンプの出力1W時のセパレーション特性です。パソコンソフトのWaveSpectraを使っているため高域は20kHzどまり です。低域で-70dB、中域で-100dB、高域で-80dBが確保されておりシングルアンプでは優れていると思います。

100Hz方形波応答 811Aアンプの2Vp-p時の方形波応答波形です。上から100Hz、1kHz、10kHzでまあまあ普通の出来上がりでは ないかと思います。

1kHz方形波応答

10kHz方形波応答



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