チューナーの停電保持機能の強化


我が家にはチューナー(アンプ付きを含む)が5台ありますがそのうち2台は停電や電源コン セント移設などで電源が落ちるとプリセットした選局情報や時計表示が直ちに消失し、もう 1台は電源を切って数分間でプリセットメモリーが消失します。取説を見ながら苦労して プリセットしたので腹立たしいです。 これを何回もやるともう我慢の限界で何とか解決出来ないか検討しました。ネット等で勉強 した結果、スーパーキャパシタや充電池でメモリーICのバックアップ電源を強化してバック アップ時間を延ばす事にしました。ただし、メモリーICをバックアップしても時計だけ はどのメーカーも点滅表示になるようですが放送局のプリセットに比べると楽な作業です。 チューナーの回路図が無いのでどこをどの様にして強化すれば良いのか分からず前途多難 ですがやって見るしかありません。

スーパーキャパシタ 先ずはスーパーキャパシタの購入です。ネットオークションで「0.33F/5.5Vのスーパーキャパ シタ3個で送料込み1020円」を見つけました。バックアップの保持時間を考えると容量は大きい ほど良いのですが0.33Fは十分な値です。何と言っても330,000μFですから。±の端子も付い ているので改造時の半田付けも楽です。電極の±が分かり難いのですが左側の凸面がマイナス、 右側の平らな電極がプラスです。

マウスを画像に重ねると 画像が拡大 されます。(以下同様)

基本回路 スーパーキャパシタの製造会社のホームページからバックアップの基本回路を見つけました。 それによると、充電時の突入電流を和らげる抵抗、逆流防止のためのダイオードを装備した 上でメモリーICの電源部にスーパーキャパシタを増設すれば良い事が分かりました。抵抗は 100Ω、ダイオードは一般的なシリコンダイオードで良さそうです。ダイオード挿入で供給 電圧が0.7Vくらい低下しますが問題ないでしょう。ダイオード以前の電源部の状況が全く 不明なのでスーパーキャパシタが与える影響を無くすための安全対策です。

(1)サンスイのチューナーアンプR-11の強化例

メモリーIC 1階居間に置いているサンスイ製チューナーアンプR-11の停電保持機能強化から作業 を開始しました。このアンプはテレビを見ない時にFMを聴くため一番良く使う物なので 是非改善したいと思います。R-11の取扱説明書又はサービスマニュアルをインターネット で探したのですが見つかりません。しかし、BOSEのRA-8と言うチューナーアンプと中身 が全く同じという情報があり、RA-8の取扱説明書を探したところ幸いに見つかりました。 残念ながらサービスマニュアルは見つからず回路図は不明です。RA-8の取扱説明書では 停電などで電源が落ちるとプリセット内容が消えるとの記述がありました。早速ケース を開けて中身を見たら前面パネルの裏面にメモリーICが見つかりました。三菱のM38197 EAFPという8ビットCMOSマイクロコンピューターICでネット検索するとデータシートが あったので電源(No.91)とアース(No.40)端子が判明しました。電源電圧を測ると +4.9Vでした。

メモリーIC プリセット内容をバックアップするにはメモリーICの+4.9Vの電源をスーパーキャパシタ で保持すれば良いのですが、念のためにメモリーICの電源部がどんな回路になっている のか確認するため前面パネル基板の表側を見る事にしました。ボリュームと2つの摘みの ナットを取り外すと前面カバーが外れてパーツが現れました。

対策後 ここで「アッ」と驚きました。何と、スーパーキャパシタによるバックアップ回路が あるではありませんか。ただ、容量が少し小さくて0.047F/5.5Vです。容量抜けのため バックアップが出来ていなかった様ですが、小生の容量計は200μFまでしか測れない ので不明です。もしかしてBOSEのRA-8はバックアップしないのにサンスイのR-11は バックアップする様に改良されたのでしょうか。兎に角、今回購入した0.33F/5.5Vに 交換する事にしました。

対策後 スーパーキャパシタを交換しようと思いましたが場所が悪すぎです。表示板の下に あるため半田ごてで外せないのでラジオペンチで掴んで思い切り捻って取り外しま した。元の位置にスーパーキャパシタを取り付けるのは不可能なため基板の裏側に 半田付けしました。プリントパターンが壊れたので電線で接続しています。 スーパーキャパシタ交換後は幸いにして今日までチューナーアンプ に異常は起きていません。停電保持機能を強化したのでアンプの電源を落としても プリセットの内容が消える事も無くなり改造は大成功です。多分数日間電源を抜いて もプリセット内容は保存されるでしょう。改造コストもスーパーキャパシタの購入費 だけでした。

(2)ONKYOのチューナーT-411Mの強化例

対策前 2階洋室にあるONKYOのチューナーT-411Mはハードオフで買ったものですがプリセット情報が 電源コードを抜くと直ちに消えてしまいます。例によってスーパーキャパシターの容量抜け が原因だろうと思ってコンデンサを交換する事にしました。前面パネルを外すと0.1F/5.5V のスーパーキャパシターが見つかりました。手持ちの容量計ではこのような大容量の測定 は出来ないので取り合えず手持ちの0.33F/5.5Vに交換する事にしました。

対策後 新しいスーパーキャパシターは大きさが異なっておりそのままでは半田付け出来ない のでリード線を使って取り付けました。この交換によって電源コードを抜いても直ちに プリセット情報が消えない様に改善されました。容量が3倍になったのでプリセット情報 は長期間保持出来るのではないかと期待します。ただし、本改造をしても時計は0:00の 点滅にリセットされてしまいます。

(3)SONYのチューナーST-S333ESGの改造例

Sony 2階和室に置いているSONY製チューナーST-S333ESGは古いシンセサイザー機ですが数日振りに 電源を入れるとFMもAMも周波数が初期状態にリセットされる様になりました。内部を見ると 周波数設定用ICのバックアップ電源として33mF/5.5Vのコンデンサがありました。今風表示 だと33,000μFの電解コンデンサですが容量抜けか何かで保持時間が数分間になったと 思われます。このチューナーは時計が無く常時電源を入れておく機種ではないため大変 不便です。そこで、保持時間を数ヶ月に延ばすためリチウム充電池に交換する事にしました。 単4のリチウム電池4本をシリーズ接続し電源オフの時に4.8Vでプリセット情報をバック アップしました。常時スタンバイさせる機種ならスーパーキャパシタでも良いのですが電源 を長時間落とすので本対策を考えました。



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