| FDAM3Dのレストア |
大きな傷や凹みはないですが擦り傷はたくさんあります。購入時の写真を撮り忘れましたが
音量ボリュームの左側にジャックが取り付けられておりおそらくCWのKEYを接続していたと推察されます。
内部はLPFが欠損している他に大きな改造は見られません。1W移動機なのでLPFなしでも重大な妨害を与えない
と思って取り外したのでしょうか。
AM-3Dの大きな欠点はFM検波器がなくAM検波の周波数をずらせて復調するいわゆる
「スロープ検波」です。これを改善するためワイズ検波器として知られる簡易なFM検波器を作りました。
455kHzの同調コイルは手持ちのフェライトコア(FT-114-43)にエナメル線を巻いて手作りしました。
巻き数は42回でセンタータップを設けます。これでインダクタンスが約1mHになるので
100pFのセラミックコンデンサと50pFのトリマで455kHzに同調させます。あとはCRと1N60ダイオード
を組み込めば完成です。AM-FM切り替えスイッチの空き端子を使って配線しました。送信VFOのバリコン
に補強金具を半田付けして機械的な強度を上げました。
送信VFOのトランジスタには常時電源が入っており、FDAM-3よりも送信周波数の安定化
が図られていますがまだ不十分です。そこでVFOの発振回路にコンデンサを並列挿入して受信時に周波数
をずらせる方法としました。39pFのコンデンサを半導体リレーを使って挿入し、発振周波数を5MHzほど
低くしました。これで多少は安定化されたと思われますが、なにしろ13MHz帯で1MHzも変化させるVFO
なのでダイヤルを手で掴むだけで200Hzくらい周波数が動くので相手局もアナログ機でないと安心して
交信できないと思われます。写真には3端子レギュレータ増設と水晶2チャンネル化が映っています。
ワイズ検波機の回路図です。調整としては同調コイルの共振周波数が455kHzになる
ように50pFのトリマを回すだけで半分くらい入ったところで共振しました。早速FM交信局を
ワッチしましたが感度も十分で受信音もかなりクリアです。ICOMさんもこんな簡単な回路でFM検波器が
装備できることを知らなかったのでしょうか。問題点としてはスケルチ機能がないので無信号時に
「ザー」という大きな音が出ることですが移動機なので良しとしましょう。
50MHzの変調波形が見れる中古のオシロスコープをヤフオクでゲットしたので早速AM-3Dの変調波形
を観測する事にしました。オシロスコープは岩通のSS-5712で200MHzまで波形観測が出来る物です。
先ずは51MHz、出力電力0.75Wの無変調波形(キャリア)です。出力電力は50MHz〜53MHzまでほぼ
一定で、53MHzから少しずつ下がり始めて54MHzでは0.5Wになります。同調帯域幅を50.0MHz〜51.5MHz
の1.5MHzに狭めれば出力電力はもう少し増えるかも知れません。
1kHzで変調を掛けた時の波形です。これ以上変調度を上げると波形が大きく歪んでしまいます。
波形は上下がつぶれて矩形波のようになるので、RF電力の出力不足よりも変調出力の飽和が原因
と思われます。
この時の変調度は約55%で、ピーク電圧が無変調時の1.6倍になっているので、ピーク電力の計算値
は0.75Wx1.6x1.6=1.92Wという事になります。元々、AM-3Dの仕様上の出力電力は1Wなのでこんな物
でしょう。しかし、この波形は典型的な低電力変調の波形と同じで、終段コレクタ変調としては
失格です。いくら終段コレクタ変調でも最大出力電力に近いキャリアにAM変調を掛ける訳ですから、
「正しいAM変調」(100%変調時のピーク電圧が2倍でピーク電力が4倍)には成っていません。
本機を使っていた当時はテスターしか持ってなくて変調具合など測定する術もなく、この様な
しょぼい変調になっていても気付かずに運用していました。さてさて、CB無線機のようなガツンと
掛かる強い変調を求めて何か改造を考えないといけません。
因みに、小生がCB無線機から改造した28MHzAM機は口笛を吹くと電力計の針がビーンと勢いよく
振れます。音質はともかくこれは気持ち良いものです。
早速AM-3Dの改造に着手しました。何を改造すれば良いのか確認するために先ず変調出力を上げて
見ました。送信キャリア出力を変えない(0.75W)で変調トランスの1次側(8Ω?端子)に最大出力
10Wの半導体アンプを接続しました。アンプに1kHzの信号を加えて出力を上げて行くとAM-3Dの変調
波形が変わり、100%変調時にはピーク値がキャリア時の2倍になり、過変調状態にすると2.5倍にも
なります。変調波形はとても綺麗な正弦波です。
実験の結果から、終段トランジスタ2SC776はピーク値3〜4Wを出す力があり、μPC20Cの変調出力不足
が「しょぼい変調」の原因と判明しました。そこで、μPC20Cを最大出力5WくらいのリニアICに置き
換える事にしました。
出力5W程度で安いリニアICを捜したところ東芝のTA7252APが見つかりました。13.2Vで最大出力5.9W
(4Ω負荷)のモノーラル仕様です。値段も500円ちょっとで小さいのでμPC20Cを取り去った後に
簡単に取り付けられます。外付けパーツは電解コンデンサのみですが、念の為に入力側に半固定
ボリュームを追加しました。
ついでに、ドライバーのトランジスタ2SC774をより遮断周波数の高い(650MHz)手持ちの2SC654
に交換してRF出力の強化を図りました。その結果、RF出力電力は0.75Wから1Wに増加しました。
改造後の送信基板です。低周波増幅アンプがμPC20CからTA7252APに、RFドライバートランジスタ
が2SC774から2SC654に替わっています。TA7252APの放熱対策として厚さ2mmの鉄板2枚をネジ止め
しました。
改造後の1kHz変調波形です。ピーク値がキャリア時の1.85倍なので計算上のピーク電力は
1Wx1.85x1.85=3.42Wになります。余力のある半導体アンプではピーク値が2倍になりましたが、
13.2V、4Ω負荷で5.9Wの仕様を持つTA7252APも8Ω?のコイル負荷では半分程度しか力を出せない
のでしょう。「正しいAM変調」の2倍には届きませんでしたが、改造前の変調波形より改善されて
いるのは明らかです。他の受信機で聴いたところ問題ない変調音だったので今後の移動運用
が楽しみです。