天体望遠鏡のアップグレード |
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レンズフードを外した状態の口径80mmの対物レンズです。2枚玉のアクロマートで
30年前は優秀なレンズだったと思われます。今はもっと優秀なアポクロマートやEDレンズに
なっていますがとても高価で手が出ません。レンズは傷やカビも無くとても綺麗です。
鏡筒内部も黒く塗装されており遮光環もしっかり装備されています。
付属のアイピース達です。30年も前なのでサイズは24.5mmのツァイスサイズです。60mm望遠鏡と
同じサイズなので私としては好都合です。K28mm、HM12.5mm、Or6mmのアイピース、天頂
ミラー、地上風景を見るときに便利な正立ミラー、太陽をファインダーで見るときのサングラス
が揃っており、普通これだけで1万円以上の価値があります。
ビクセンのポラリス型赤道儀の2代目で「ニューポラリス赤道儀」と呼ばれています。動きが
若干固かったので分解清掃してグリスアップしました。この赤道儀の最大の特徴は極軸を真上
にして固定すると経緯台として使える事です。普段望遠鏡を使うウッドデッキから北方向は
見えず望遠鏡を北極星に向ける事も出来ないし、赤道儀の使い方を良く理解して
いない初心者が月や惑星を見るだけなら手動で水平、垂直のみ動かす方が圧倒的に楽なので
普段は経緯台として使っています(後に望遠鏡の操作に慣れたので赤道儀として使用)。
6倍x30mmのファインダーです。軸が鏡筒の真上から45度ズレているのでとても覗き易いです。
例によってファインダーの十字線が曲がっていたので細い銅線で張り替えました。また、
ピント合わせを行うドローチューブに目盛がないためステンレススケールを使って
「簡易ピントスケール」を作成しました。材料は長さ300mmのステンレススケール、長さ194mmの
メッキ金属板、アルミ板で自作したL金具、目盛線を接着したスケールロック、3mmφボルト、
ナットで、総額1,700円でした。これで接眼レンズ毎のピント位置をあらかじめ記録しておけば
暗い夜空でのピント合わせが格段に楽になります。
梅雨の晴れ間に月が見えたのでミラーレス1眼レフ NIKON1で直接焦点撮影しました。丁度半月
なのでクレーターが良く見えます。シーイングは靄が掛かったようで決して良いとは言えない
空でした。焦点距離1200mmの望遠鏡で直接焦点撮影した時の満月の画像の大きさは10.6mmと
言われています。NIKON1の撮像素子のサイズは13.2 x 8.8mmなので満月の場合は全体が
入り切らない事になります。
ついでに土星も撮影しましたが高度が20度と低いうえに空に靄が掛かったような最悪の条件
だったので見え味は良くありません。木星は既に西の空に沈み掛かっており撮影は出来ません
でした。
2.口径115mmニュートン反射望遠鏡
口径80mm屈折望遠鏡の購入で見え味は改善されたのですが、反射望遠鏡の原理を勉強したら
小生の悪い癖で実際に触って見たくなりました。反射望遠鏡にもピンからキリまであって
どれを買うか迷いましたが、貧乏性の小生はいわゆる「買ってはいけない望遠鏡」の部類の
口径115mm、焦点距離910mmの米国ミード社のDS-115なる中古品をネットオークションでゲット
しました。6,000円で落札しましたが電動の経緯台付き(電源部とリモコン無し)だったので
良しとしました(後で電動機能は全く使い物にならない事が判明)。
ファインダーは6倍x25mmで十字線は綺麗で問題なし。接眼部のドローチューブの可動範囲は
最大5cmで動きはスムーズですが若干のガタがあります。アイピースは24.5mmのツァイス
サイズでH12.5mmが付属していました。
経緯台と3脚です。この望遠鏡は元々モーターで自動導入・追尾する仕様のようですが、
電源部とリモコンが欠品しているため手動で動かすしかありません。欠品のパーツは
買うと何万円か必要だし、3脚の足が途中で固定されておらず不安定で自動追尾に耐えられる
とは思えません。経緯台もガタがあり水平、垂直を固定した状態でも手で動かすと鏡筒の先端が
上下左右に2〜3cmくらい動きます。鏡筒バンドが金属製でなくプラスチックなのが主原因だと
思われます。やっぱりアメリカ製(製造は台湾)は大雑把でダメですね。
このため後述するように60mm屈折望遠鏡の赤道儀と3脚に交換しました。
主鏡がホコリでくすんでいたので磨くことにしました。ミラーをセルから取り外すと光軸が
ずれる恐れがあるのでセルに固定したまま洗剤で磨きます。ミラーはかなり汚れて
おりカメラと小生の顔がくすんで見えます。なお、斜鏡は綺麗だったので洗浄は止めました。
小生の実力では再取付時の光軸調整は困難です。
洗剤を少しだけ付けて指先で優しく洗浄しました。2〜3回磨きましたが乾くとまだ少し
白い斑点が残っていました。マルチコートされていても磨き過ぎるとアルミメッキに傷が付く
恐れがあり程々で止めました。それでもカメラと小生の顔がくっきりと映るし、少し離れて
見るとミラーの汚れは気にならないので良しとします。
前述したようにオリジナルのアルミ3脚と経緯台はグラグラで不安定なため60mm屈折望遠鏡の
赤道儀と木製3脚に交換しました。鏡筒バンド部分をオリジナル経緯台から取り外して3mm厚の
アルミ板に固定したあとM6ネジで赤道儀に取り付けました。鏡筒バンドがプラスチック製
なので強度は十分ではありませんが鏡筒が軽いため安定性はかなり向上しました。
写真で見る通り経緯台的な使用方法にしており初心者はこの方が楽です。
左右の重量バランスを取るためにダンベル用の重り3個を追加しています。
ドローチューブにガタがあるため正確なピント合わせが難しいので減速装置を自作しました。
アマチュア無線で使う4.5:1の減速装置(井上電機FDAM3からの取外し品)をアルミ板を工作
して接眼部に取付けました。ダイヤルツマミもFDAM3からの取外し品です。
当初、ピントノブの右側に取付けましたが主鏡を上にして鏡筒を縦に仮置きする場合に邪魔に
なるので左側に変更しました。これでピント合わせが若干楽になりました。梅雨の合間の好天
を待って反射望遠鏡の性能テストをしたいと思っています。
その後、2016年5月に火星が地球に大接近する「スーパーマース」が到来しました。これはチャンス
と早速この反射望遠鏡で火星を観測しました。さすがに木星の次に明るい星が火星でした。
望遠鏡自体の倍率が72倍、デジカメの光学倍率が4.2倍の「コリメート法」で撮影しましたが、
望遠鏡の光軸調整が良くないためか楕円形に写っています。この程度の望遠鏡では火星の縞模様は
見えなくて当然です。大接近時期でも火星をちゃんと写すにはもっと高級な望遠鏡及び自動追尾
する架台と頑強な三脚が必要のようです。