ニキシー管デジタル時計の制作


真空管時代に育った者として「ニキシー管」という言葉は非常に懐かしい響きがあります。 デジタル化が始まった当初の表示はニキシー管が多く使われました。周波数カウンターやお店のレジ機 や電卓などがそうです。そういえばデジタル時計もありました。今では液晶やLEDを使ったデジタル時計が 安く買えますが、あのニキシー管のぼんやりとした奥行きのある表示をもう一度見たくなり、小生のような アナログ屋の手が出せない時計制御部分にキットを使ってニキシー管時計を制作することにしました。 総額1万6千円程のコストが掛かりましたが真空管アンプマニアにとっては出力トランス1個買ったと思えば 安いもんです。

ニキシー管 ニキシー管は製造終了後数十年が経過していますがまだロシア製などが通信販売で購入出来ます。 しかし、最近ニキシー管時計を作るマニアが多くなって値段が高騰したそうです。写真はロシア製 ニキシー管IN-16です。管径13mm、長さ40mmの可愛いニキシー管で6本購入しました。値段は1本1,300円 でした。足が13本あり基板に半田付けするのはかなり難儀でしたが事前に足を斜めにカットしてから 作業を行いました。白いソケットは足が絡まないようにするものですが割と綺麗だったのでそのまま 使用しました。

マウスを画像に重ねると 画像が拡大 されます。(以下同様)

基板キット 時計コントロール部の基板キットとDC12VをDC5V及びDC140〜200Vに変換するDC-DCコンバーターです。 ただし、コンバーターはキットを半田付けして組み立てた後の写真です。2つのキットの値段は7,000円 でした。

点灯テスト 組み立てたDC-DCコンバーターを用いてニキシー管が正常に点灯するかテストしました。DC150Vを10k オームの抵抗を介してアノードに接続して該当のカソードをアースに落とし「5」を表示させたものです。 6本とも全ての数字が正常に表示出来たので安心しました。

表示部基板 表示部基板の配線状況です。基板はタカチのTNF63-119で文字通り63mm x 119mm x 1.6mmのガラス エポキシ基板です。配線は10色の0.2平方mmの細いビニール電線で行いました。抵抗のカラーコードと 同じ感じで配線しました。2本目、4本目、6本目のニキシー管は「,」の2本の電極を除く全ての電極に 配線します。そして1本目のニキシー管はアノード、0、1、2の4本、3本目と5本目は各々アノード、0、 1、2、3、4、5の7本の配線のみになります。70近い爺さんにとって細かい作業は手が震えて困りました。

ブロックダイア 今回制作したニキシー管時計のブロックダイアです。なお、外出時や夜間など誰も時計を見ないとき ニキシー管を消灯するスイッチと周囲の明るさにより輝度を自動調整するため直径12mmのCDSセンサー を設置しました。しかし、小さくて感度の低いCDSセンサーでは輝度が少し変わる程度で、部屋を 真っ暗にした時にニキシー管が消灯するようには設定出来ませんでした。 なお、停電時など電源がOFFになったら表示がゼロにリセットされるため、プリント基板のパターンを1本 カットして逆流防止用ダイオードを介して5.5V 0.1Fのスーパーキャパシターにより水晶発振器と時計制御IC 16F648AのDC5V電源をバックアップしました。 保持時間は10分くらいなので時計の置き場所を変える時くらいしか役立ちませんが無いよりマシと言った ところです。

時計完成 完成したニキシー管デジタル時計です。基台は厚さ2mmの薄緑色アクリル板を160mm x 100mmに カッターナイフでカットしました。 電源は手持ちの出力10V-1AのACアダプターを流用しました。負荷が軽いので丁度12V近い電圧 が得られました。ニキシー管の寿命は1万時間とも20万時間とも諸説ありますが小生よりも 長生きしてくれることを望みます。

時計後面 ニキシー管時計の後面です。DC-DCコンバーターの端子にはDC150V以上の電圧が掛かっており、 飼い猫が舐めたり触ったりしたら危険なので余ったアクリル板を接着してL字型に加工しました。 これで人間も猫も感電の心配がありません。



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