山頂や峠でのSSBハンディ機の運用は50MHzで可能ですが運用局が少なく容易に交信が出来ません。
そこで1年中賑やかな7MHz SSBでの移動運用を思い着きました。しかし市販のトランシーバ
は大きく消費電流も多いため使いたくないので自作することにしました。送信出力は5W程度、送信
周波数は7.0〜7.2MHzとし、可能な限り手持ちのパーツを使って安く作ります。最終的に既存のDDS-VFO
(喜田 電子 MC-50)のケース内に50MHz SSBトランシーバ(ミズホ MX-6)を7MHz用に改造した基板を
内蔵して制作しました。
製作の要点:
・測定器として作ったDDS-VFOを使って7MHzをフルバンドでカバーする。
・メイン基板は50MHz 250mW SSB機の残骸を活用しSSB専用とする。
・5W程度の送信出力を確保するため自作のリニアアンプを付加する。
・ケースはDDS-VFOに使ったものをそのまま使用する。
・Sメーター兼RF POWメーターを追加する。
・電源は12Vバッテリーとする。
・DDS-VFOの出力端子を設けて測定器としても使えるようにする。

7MHz SSB移動運用機の正面です。測定器のDDS-VFOのケース(タカチ YM200 200x150x40mm)を
そのまま使ったのでUp/Down用プッシュボタンを撤去してSメーター兼RF POWメーターを取り
付けています。正面は狭くて一杯一杯なのでマイクコネクタは背面に設置しました。写真は
電源スイッチを入れた時の表示で周波数は7.1MHzです。逆ダイヤル設定も完了したので周波数
を上下に動かせます。実は、本DDS-VFOの逆ダイヤルのオフセット周波数設定の方法が非常に
難しくて数日間の苦闘の末にやっと出来ました。オールリセットを何回もやったので今
からもう一回やれと言われたら自信がありません。DDS-VFOキットの説明書に従ったら
うまく行かなかったので独自の方法ですが他人には勧められません。

背面の様子です。ケースは最初にTA2020デジタルアンプ、次に測定器としてのDDS-VFOに使った
物なので余計な穴が沢山開いています。受信入力を下げる20dBアッテネータのスイッチ、マイク
コネクタ、DDS-VFOの出力端子があり、DDS-VFOを測定器として使用可能です。DC電源用のコネ
クターは使わず直接電源コードを接続しています。

内部の様子です。これまた基板で一杯一杯です。小さなスピーカーをシャーシ下面に設置しました。
Sメーター兼RF POWメーター用の基板は送受信用基板の上に紙を挟んで置いただけの空中配線です。
5Wリニアアンプの終段トランジスタ(2SC1969)はシャーシ下面にネジ止めしただけですがそれほど
熱くはなりません。

本機のメイン回路図です。MX-6の回路図を加工して作成しました。回路上の特記事項は以下の
通りです。
・50MHz用のコイルと同調コンデンサを全て7MHz用に交換しました。
・キャリア発振器の水晶は50MHz USBでは11.272MHzが必要ですが、今回は7MHz LSBで且つ
IF周波数が送受信周波数より高いため11.275MHzで発振させる必要があります。幸い、
水晶にシリーズに入れるコンデンサの容量を調整することでOKとなりました。
・高ゲインのLM386のAFアンプは雑音性能が良くないのでプリアンプ+低ゲイン(20倍)の
LM386アンプの形態としました。
・キャリア発振器の安定化電源をツェナーダイオードから3端子安定化電源に交換しました。
・平衡変調器SN16913にキャリアバランス用ボリュームを追加してキャリア漏れを最小にしました。
また、電源電圧が変化してもキャリアバランスが崩れないように9V安定化電源から電圧を供給
しました。
・受信から送信に切り替えた時に約1秒間の過渡的なキャリア漏れが発生したのでマイクアンプ
出力のコンデンサ10μを0.47μに交換しました。
・不要なパーツは基板から撤去しないでプリントパターンカット等で切り離しました。
・消費電流は受信時80〜100mA、送信時400mA〜1.8Aでメーカー製トランシーバよりかなりの
省エネが達成されました。

5Wリニアアンプ、AFプリアンプ、Sメーター兼RF POWメーターの回路図です。
送信電力を稼ぐために終段トランジスタの入力側、出力側のトランスの巻線比を種々試し
ました。出力の波形が綺麗になるようにアイドリング電流を少し大きめにしています。
送信電力は12V電源では5Wですが13.8Vの固定局運用では8Wに増加します。

DDS-VFOの周波数4.175MHzの波形です。振幅は350mVp-pです。以前、FT101ESの外部VFOとして
使用した時は出力レベル不足で十分に動作しなかったためトランジスタ1石のプリアンプが必要
でしたが今回はアンプなしでも大丈夫でした。

周波数11.275MHzのキャリア発振器の波形です。振幅は700mVp-pでちょっと大き目です。
波形が少し汚いので高調波を含んでいるようです。まあ、QRP送信機なので良しとします。

送信電力5W時における2トーン(800/2,000Hz)変調波形です。余り綺麗な波形ではないですが
終段トランジスタのアイドリング電流を小さくするともっと汚くなるので300mAくらい流して
います。それでもトランジスタの温度上昇は僅かなので大丈夫でしょう。